開発環境 ATDE3 のセットアップ

開発環境 ATDE3 のセットアップ

ATDE (Atmark Techno Development Environment) 3は、Armadillo-400シリーズ用の開発環境です。 実体は、VMware上で動作する Debian GNU/Linux 5.0 (“Lenny”)をベースにしたVMイメージです。 したがって、まず使用するPCにVMwareがインストールされている必要があります。

VMwarePlayerのインストール

ATDEを動作させるにはVMwareをインストールする必要があります。 VMwareはVMware, Incが販売している仮想PC環境で、WindowsやLinux (あるいはMac OS X上)、または独自のOS上で動作します。 VMwareにはいろいろなバージョンがありますが、ここでは無償で利用できるWindows版のVMware Playerを利用します。

まず、VMware Playerのインストーラをダウンロードします。

Webページの手順に従ってVMware Playerのインストーラをダウンロードします。 ダウンロードしたインストーラを起動し、指示に従ってインストールします。

vmwareplayer_install0.jpg
インストーラの起動

インストール後、再起動を求められますので再起動します。 再起動後、スタートメニューからVMware Playerを起動します。

vmwareplayer_install4.jpg
VMware Playerの起動

起動を確認したら、ひとまず右上の×ボタンを押し終了します。

ATDE3のダウンロード

アットマークテクノのサイトからATDE3をダウンロードします。 ここではArmadillo-400シリーズ用のATDE3をダウンロードします。(ATDE2やATDE4は異なるシリーズのCPUボード用の開発環境ですので、ダウンロードしないでください。)

&color(red){※ATDEおよびドキュメントが更新されている可能性があるので、ATDEダウロードサイトでご確認ください。}

ダウンロードしたZIPファイルを展開すると、atde3-<バージョン番号> というフォルダができます。

atde3_folder.png
ATDE3の展開

フォルダの内部を見てみます。atde3 (種類:VMwre構成ファイルとなっている方) がVMwareの構成ファイルです。 このファイルをダブルクリックすると、VMware Player上でこの仮想マシン(VM)が起動します。

atde3_folder_inside.png
ATDE3フォルダ

ATDE3の起動とログイン

前述のように、ATDE3のフィルだ内のatde3 (種類:VMwre構成ファイルとなっている方, 実際のファイル名は atde3.vmx) をダブルクリックするとこのVMが起動します。

もう一つの起動方法としては、スタートメニューから VMware Playerを起動し

  • ファイル(F)
    • 仮想マシンを開く(O)

から、上記のatde3.vmx を指定する方法があります。

いずれかの方法で起動すると、以下のような画面が現れます。

atde3vm0.png
ATDE3 (Linux/Debian) の起動画面

VMwareの画面上をクリックすると、制御がVMwareに移ります。Enterを押すか、しばらく待つとLinux (Debian) が起動します。 起動すると以下のようなログイン画面が現れます。

atde3vm1.png
ATDE3 (Linux/Debian) のログイン画面

ATDE3はデフォルトで、以下のユーザアカウントおよびパスワードが設定されています。

ユーザ名 パスワード 権限
atmark atmark 一般ユーザ
root root 特権ユーザ

ユーザ名 atmark、パスワード atmark を入力し、一般ユーザとしてログインしてみます。

なお、非常に簡単なパスワードしか設定されていませんので、長時間起動しておく場合はパスワードを変更したほうがよいでしょう。 以下、安全な環境下で、開発時のみ短時間起動すると仮定して、上記の設定のまま解説を進めます。

ネットワーク接続の確認

VMがネットワークにアクセスできるか確認します。

アプリケーション->インターネット->Iceweaselウェブ・ブラウザ からWebブラウザを起動します。

atde3vm2.png
Iceweaselウェブ・ブラウザ

URLにopenrtm.org等を入力し、Webページが表示されることを確認します。

atde3vm3.png
openrtm.orgへアクセス

ネットワークにつながらない場合、
  • VMware Playerを実行しているPCがネットワークに接続されているか?
  • VMware Playerをインストール後再起動したか?
  • VMware Playerのメニュー仮想マシン(V)->取り外し可能デバイス(D)->ネットワークインターフェース にチェックマークがついているか? 等を確認してください。

システムのセットアップ

ATDE3を利用するために、いくつか必要な事項を設定剃る必要がありますが、以下の一括設定スクリプトを利用すると、簡単にセットアップができます。 なお、このスクリプトで行なっている詳しい内容についても説明します。

一括設定スクリプトによるセットアップ

一括設定スクリプトを使用すると、
  • sources.list の修正
  • sshのインストール
  • sambaのインストール・設定 を一括で行うことができます。

こちら一括設定スクリプトをダウンロードします。 ダウンロードしたスクリプトに実行権限を与え、実行します。

 atmark@atde3:~$ wget http://svn.openrtm.org/Armadillo/trunk/atde3/atde3setup.sh
 atmark@atde3:~$ chmod 755 atde3setup.sh
 atmark@atde3:~$ ./atde3setup.sh
atde2setup0.png
一括設定スクリプトのダウンロード

現在のパスワード (atmark) を求められますので入力します。

 atmark@atde3:~$ ./atde3setup.sh
 [sudo] password for atmark: パスワードを入力
   :
  パッケージデータベースの取得
   :
 Do you want to install ssh? (y/n) <- yを入力
   :
 以降全てyを入力
 ワークグループはデフォルトのWORKGROUPでOK
 WINSの質問に関してはデフォルトのNO
   :
 New SMB password: atmark
 Retype new SMB password: atmark
   :
 Stopping Samba daemons: nmbd smbd.
 Starting Samba daemons: nmbd smbd.
 atmark@atde3:~$

以上で、基本的設定は終了です。以下、スクリプトで行なっている内容を自ら行う場合の作業手順を示します。

source.listの編集

公開されているATDE3の環境では、パッケージのリポジトリのURLが古いため、そのままではapt-getなどでパッケージを取得することができません。 以下のように、/etc/apt/soruces.list を編集する必要があります。以降の作業を行うために、この作業は必ず行なってください。

 $ sudo cp /etc/apt/sources.list /etc/apt/sources.list.org
 $ sudo sed -i 's/ftp.jp/archive/g' /etc/apt/sources.list
 $ sudo apt-get update

sources.list を source.list.orgとしてバックアップを取り、sources.list内の ftp.jp を全て archives に置換しています。 その後、apt-get update でデータベースを更新しています。

sshのインストール

必須ではありませんが、sshをインストールしておけば、TeraTermなどでログインして作業を行うことができます。 通常、VMwareのゲストOSからホストOS、またはその逆にコピー&ペーストができないので、ターミナルで接続して作業するほうが便利な場合があります。

 $ sudo apt-get install openssh-server
 # パスワード: atmark を入力
 # すべてYと答える

次に、このゲストOSのIPアドレスを調べます。

 atmark@atde3:~$ /sbin/ifconfig eth0
 eth0      Link encap:イーサネット  ハードウェアアドレス 00:0c:29:df:22:59 
           inetアドレス:192.168.0.2 ブロードキャスト:192.168.0.255  マスク:255.255.255.0
           inet6アドレス: fe80::20c:29ff:fedf:2259/64 範囲:リンク
           UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  メトリック:1
           RXパケット:70593 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 フレーム:0
           TXパケット:20438 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 キャリア:0
       衝突(Collisions):0 TXキュー長:1000 
           RXバイト:17346973 (16.5 MiB)  TXバイト:11133415 (10.6 MiB)
           割り込み:18 ベースアドレス:0x2024 

192.168.0.2 がこのゲストOSのアドレスです。TeraTermなどで、このアドレスにsshで接続してみます。

teraterm_address.png
TeraTerm で接続する

TeraTermの場合、known hostにこのホストを追加するかどうか尋ねられますので、Yesと答えて次に進みます。 IDとパスワードをたずれられますので、上と同様にatmark/atmarkと入力します。

teraterm_login.png
ログインする

teraterm_loggedin.png
ログイン後の画面

なお、DHCP接続の場合、IPアドレスが起動毎に変わる可能性があり、sshで接続する際に毎回IPアドレスを使用する必要があるかもしれません。 その場合、ネットワーク接続方式を「ブリッジ接続」から「NAT」にし、固定IPアドレスを設定すると便利です。 /etc/network/interfaces を以下の例ように書き換えることで固定IPアドレスを設定することができます。

 auto eth0
 iface eth0 inet static
   address   192.168.0.2
   network   192.168.0.0
   netmask   255.255.255.0
   broadcast 192.168.0.255
   gateway   192.168.0.1
   dns-nameservers 192.168.0.1

なお、詳細についてはLinuxおよびDebianの参考書、Webページを参照してください。

sambaのセットアップ

VMwareのホストOSがWindowsの場合、ホストOSとゲストOS間でファイルのやり取りをしたいことがよくあります。 例えば、ゲストOSでコンパイルしたバイナリを、Armadilloで実行する際にSDカードにコピーする場合、ゲストOSで直接SDカードを読み書きすることもできますが、Windows上でゲストOSからSDカードへファイルをコピーしたほうが便利なこともあります。

ゲストOSにSambaをインストールしておけば、簡単にゲストOSのファイルを操作することができます。

まず、sambaをインストールします。Sambaインストール後に、Sambaのコンフィギュレーションファイル /etc/samba/smb.confのバックアップをとっておきます。

 atmark@atde3:~$ sudo apt-get install samba
 atmark@atde3:~$ sudo mv /etc/samba/smb.conf /etc/samba.smb.conf.org

ホームの下に、smb.conf という名前で以下の内容のファイルを作成します。

 [global]
    workgroup = WORKGROUP
    server string = %h server
    dns proxy = no
    log file = /var/log/samba/log.%m
    max log size = 1000
    syslog = 0
    panic action = /usr/share/samba/panic-action %d
    encrypt passwords = true
    passdb backend = tdbsam
    obey pam restrictions = yes
    unix password sync = yes
    passwd program = /usr/bin/passwd %u
    passwd chat = *Enter\snew\s*\spassword:* %n\n *Retype\snew\s*\spassword:* %n\n *password\supdated\ssuccessfully* .
    pam password change = yes
 [homes]
    comment = Home Directories
    browseable = yes
    read only = no
    create mask = 0755
    directory mask = 0755
    valid users = %S

バックアップをとったファイルの代わりに、上記の内容のファイルを /etc/samba/以下にコピーします。

 atmark@atde3:~$ cat > smb.conf
 # 上の内容をコピペ、Ctrl+Dを押す。
 atmark@atde3:~$ sudo cp smb.conf /etc/samba

atmarkというユーザのパスワードを設定します。

 atmark@atde3:~$ sudo smbpasswd -a atmark
 # パスワード: atmark を入力

sambaサービスを再起動します。

 atmark@atde3:~$ sudo /etc/init.d/samba restart

これで、samba経由でゲストOS上のファイルをWindowsから操作できるようになりました。 Windowsでエクスプローラ(≠インターネットエクスプローラ)を起動します。(マイコンピュータをクリック or Windowsキー+e)

先ほど調べたIPアドレス (上の例では 192.168.0.2) の前にマークを2つつけて、エクスプローラのアドレスバーに入力します。

 \\192.168.0.2
smb_connectioin.png
エクスプローラによる接続

初回接続時にはIDとパスワードが訊かれますので、先ほど設定したIDとパスワード (atmark/atmark) を入力します。

smb_login.png
エクスプローラによる接続

自分のホームフォルダがatmarkおよびhomeという名前のフォルダとして参照できます。

smb_homefolder.png
ホームフォルダ

ダウンロード

最新バージョン : 2.0.1-RELESE

統計

Webサイト統計
ユーザ数:2195
プロジェクト統計
RTコンポーネント307
RTミドルウエア35
ツール22
文書・仕様書2

Choreonoid

モーションエディタ/シミュレータ

OpenHRP3

動力学シミュレータ

OpenRTP

統合開発プラットフォーム

産総研RTC集

産総研が提供するRTC集

TORK

東京オープンソースロボティクス協会

DAQ-Middleware

ネットワーク分散環境でデータ収集用ソフトウェアを容易に構築するためのソフトウェア・フレームワーク