rtctreeモジュール

rtctree は Python で RTコンポーネントの管理をするためのライブラリです。

概要

rtctree は簡単な API で RTコンポーネントの管理をするための Python用のライブラリです。開発者は CORBA の API を知らなくとも、他のプログラムから、RTコンポーネントのシステムを管理することができます。 コンポーネントを activate したり deactivate したり、コンポーネント間の接続を行うことが可能です。

このソフトウエアは NEDO (独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構) の次世代ロボット知能化技術開発プロジェクトの支援により、独立行政法人産業技術総合研究所によって開発されています。

必要条件

  • ominorb-py 及び omniidl と omniidl用の Python モジュールが必要となります。
  • Python 2.5 以下では存在しない機能を使うので、Python 2.6 以上が必要となります。
  • Ubuntu 9.04 を使っていたら、手動で Python 2.6 をインストールすることが必要となります。そのため、Ubuntu 9.04 以上をおすすめします。

インストール

インストールはいくつかの方法が利用可能です。

  • リポジトリ(参照:以下のリポジトリ)またはソースアーカイブからダウンロード後、適当なディレクトリーで解凍し、インストールする:
    1. ソースを展開する。
       $ cd /home/blurgle/src/
       $ tar -xvzf rtctree-2.0.0.tar.gz
    2. setup.pyを実行する。
       $ python setup.py install
    3. 必要に応じて、環境変数を設定します。これはデフォルトで設定されていますが、設定されていない場合は自分で設定する必要があります。Windows上では、Python の site-packages ディレクトリーが PYTHONPATH 環境変数に、Python スクリプトのディレクトリが PATH 環境変数に設定されていることを確認してください。通常、これらは C:\Python26\Lib\site-packages\C:\Python26\Scripts\ です(PythonがC:\Python26\にインストールされた場合)。
  • Windows ではインストーラーの使用を推奨します。setup.py を利用すれば結果より容易に設定することができます。ただし、環境によってはさらに環境変数の設定が必要な場合があります。

環境変数

以下の環境変数が使われます。

RTCTREE_ORB_ARGS ORB作成時に与えるセミコロンで区切られた引数のリスト。設定することは必要となりません。
RTCTREE_NAMESERVERS セミコロンで区切った RTC ツリーのためのネームサーバーのアドレスのリスト。この変数に書いたサーバーはツリーに追加します。設定することは必要となりません。

普通の場合、RTCTREE_ORB_ARGS を設定することは必要となりません。RTCTREE_NAMESERVERS を設定したら、rtctree を使うときにもっと便利となります。例えば、Bash シェルでしたら:

 $ export RTCTREE_NAMESERVERS=localhost;192.168.0.1:65346;example.com

RTC ツリー

ライブラリの主要部分は RTC ツリーです。

 import rtctree.tree
 tree = rtctree.tree.RTCTree()
これはネーミングコンテキスト、コンポーネントおよびマネージャを取得するためにネームサーバ〜を検索して作成したファイルシステムのようなツリーです。通常のファイルシステムを扱う場合とまったく同じように扱うことができます。ツリーはすべての既知のネームサーバーに登録されたネーミングコンテキスト、マネージャ、およびコンポーネントをツリー構造で表します。

 \  
 |-+localhost
 | |-+naming_context
 | | |--ConsoleIn0.rtc
 | | |--ConsoleOut0.rtc
 | |
 | |--another_naming_context
 | |--Sensor0.rtc
 |
 |-+192.168.0.5
   |--Motor0.rtc
   |--Controller0.rtc

ツリー内の各ディレクトリーは、通常のネーミングコンテキストまたはネームサーバーのルートコンテキストです。ネームサーバーのルートコンテキストは NameServer クラスで示します。また、ネーミングコンテクストは 'Directory クラスで示し、マネージャは Manager'' クラスで示します。

ネームサーバーは、ルートディレクトリーからのディレクトリーとして扱われます。その下はファイルとサブディレクトリーです。サブディレクトリーはルートコンテクストの下のネーミングコンテクスト及びマネージャを示します。

ファイルはコンポーネントとマネージャです。コンポーネントは Componentクラスで示します。

コンポーネントオブジェクトが表しているコンポーネントに関するさまざまな情報を格納します。コンポーネントを activate や deactivate したり、コンポーネントのポートを管理したり、ポートを接続したり、構成設定を設定したりができます。

マネージャで新しいコンポーネントインスタンスを作ったり、コンポーネントを消したりことができます。

ツリー内のすべてのノードにも、それらが表すオブジェクトには、CORBA オブジェクトの参照を格納します。このオブジェクトにアクセスすることで、IDL のメソッドを呼び出すことができます。もし現在 rtctree で実現不可能な機能があったとしても、この CORBA オブジェクトを利用し IDL メソッドを直接的に呼び出すことができます。

ツリーの構築

ツリーのファクトリ関数の引数(create_tree())は、ツリーを構築するための解析対象となるネームサーバーを指定します。詳しくは当該関数のドキュメンテーションに参照してください。一般的に、ネームサーバーのアドレスのリストまたはパスのリストを渡してツリーを構築することができます。環境変数 RTCTREE_NAMESERVERS もチェックされます。

パス

ツリー内のノードはパスで指定されます。パスはストリングのリストです。一つ右のレベルは、左のものより1レベル深くなります。絶対パスは、ツリーオブジェクトを指定するために必要となります。もしパスがノード以下に存在する場合、ノードからの相対パス指定も可能です。

これらのパス文字列は、ファイルシステムパス指定と似ています。ツリーのルートは/で示します(Windowsの場合は\)。最初のレベルはネームサーバーのアドレスです。その下のレベルはコンポーネント、マネージャ及びネーミングコンテクスト(ディレクトリーとしてしめす)です。parse_pathと言う関数は文字列のパスを RTC ツリー用のパスに変更します。

例えば、以下のパス:

 /localhost/naming_context/ConsoleIn0.rtc
localhost上で起動しているネームサーバーのnaming_contextの下に登録された ConsoleIn0.rtc と言うコンポーネントを示します。ツリーからそのコンポーネントのオブジェクトを取得したい時、パスを parse_path で Python のリストに変更する必要があります。
 ['/', 'localhost', 'naming_context', 'ConsoleIn0.rtc']

ヘルパー関数

以下は RTCTree クラス及びさまざまなノードクラスのためのヘルパー関数です。以下はすべての API を示しているわけではありません。Doxygen で記述されたAPIのドキュメンテーションを参照してください。例は rtcshell のソースを参照してください。

RTCTree.has_path ツリーのパスがあるかどうかをチェックします。コンポーネントの存在をチェックするには、この関数を使うと便利です。
RTCTree.get_node ツリーからノードを取得します。コンポーネント、ディレクトリなどを取得するためにこの関数を使ってください。
RTCTree.is_component パスはコンポーネントを指しているかどうかを調べます。ノードクラスはis_componentという同じ機能のプロパティーを持っています。is_directoryis_manager及びis_nameserverという関数およびプロパティーもあります。
RTCTree.iterate() ツリーのすべてのノードに同じ関数を実行します。すべての結果はリストとして返されます。例はrtcshellのrtlsを参照してください。
Node.children ノードのすべての子ノード。例:ディレクトリーの下のコンポーネントのリストを取得するために利用することができます。
Node.full_path ツリーのルートからこのノードまでのパス。
Node.name ノードの名前。例:ディレクトリの名前。
Node.parent_name ノードの親の名前。
Node.root このノードのツリーのルートノード。返されたオブジェクトでツリーのほとんどすべての機能ができます。
Component.activate_in_ec() コンポーネントをactivateします。通常は ec_index は 0 で構いません。
Component.deactivate_in_ec() コンポーネントをdeactivateします。
Component.reset_in_ec() コンポーネントをresetします。
Component.state_in_ec() あるexecution contextでコンポーネントのステートを得ます。
Component.alive コンポーネントがaliveかどうかをチェックします。
Component.owned_ecs コンポーネントが持っているexecution contextのリストです。
Component.participating_ecs コンポーネントが使っているexecution contextのリストです。
Component.state コンポーネントのステートです。
Component.state_string 文字列にしたコンポーネントのステートです。
Component.disconnect_all() コンポーネントのすべてのポートのすべての接続を切断します。
Component.get_port_by_name() コンポーネントのポートを名前で探す。
Component.ports コンポーネントのポートのリストです。入力ポート、出力ポート、及びサービスポートのリストが含まれ、かつ現在接続状態のポートのリストも取得できます。
Component.object コンポーネントのCORBAのLightweightRTObjectオブジェクトです。
Component.activate_conf_set コンフィグレーションセットをactivateします。
Component.set_conf_set_value コンフィグレーションセットの変数を設定します。
Component.active_conf_set 現在のactiveコンフィグレーションセットです。
Component.active_conf_set_name 現在のactiveコンフィグレーションセットの名前です。
Component.conf_sets コンフィグレーションセットのリストです。
Port.connect() このポートを別のポートに接続します。
Port.disconnect_all() このポートのすべての接続を切断します。
Port.get_connection_by_dest() このポートの接続を他のポートで探します。
Port.get_connection_by_name() このポートの接続を名前で探します。
Port.connections このポートの接続リストです。
Port.is_connected このポートは接続の状態かどうかをチェックします。
Port.name ポートの名前です。
Port.object このポートのCORBAのPortServiceオブジェクトです。
Port.name ポートのオーナー(通常はComponentオブジェクト)です。
Port.porttype ポートの種類(DataInPortDataOutPort及びCorbaPort)。
Connection.disconnect() この接続を切断します。
Connection.ports この接続のソースや目的ポートのリストです。
ConfigurationSet.has_param() このセットに変数があるかどうかをチェックします。
ConfigurationSet.set_param() このセットの変数を設定します。
ExecutionContext.activate_component() このexecution contextでコンポーネントをactivateします。
ExecutionContext.deactivate_component() このexecution contextでコンポーネントをdeactivateします。
ExecutionContext.reset_component() このexecution contextでコンポーネントをresetします。
ExecutionContext.get_component_state() このexecution contextの中のコンポーネントのステートをとります。
ExecutionContext.running このexecution contextは起動しているかどうかをチェックします。
Manager.create_component() 新しいコンポーネントインスタンスを作ります。
Manager.delete_component() コンポーネントインスタンスを削除します。
dict_to_nvlist() PythonのdictをCORBAのnamevalueリストに変更します。
nvlist_to_dict() CORBAのnamevalueリストをPythonのdictに変更します。

APIのスタイル

rtctreeはPythonの標準スタイルに従います。PEP8に参照してください。

最も重要な点は、プライベートな内部API関数はアンダースコア(「_」)で始まることです。アンダースコアで始まる関数はクラス外から証すべきではありません。もし使用した場合には、未定義の振る舞いを引き起こす可能性があります。アンダースコアで始まらず、docstringがある関数だけを使ってください。

リポジトリ

最新版のソースはgithubでGitのリポジトリにあります。「Download source」をクリックしてダウンロードをすることができます。「git clone」を使うこともできます。パッチを送りたがったら、この方法がおすすめします。

 $ git clone git://github.com/gbiggs/rtctree.git

より詳細なドキュメンテーションとサンプル

より詳細なドキュメンテーションはDoxygenで記述されたドキュメンテーションを参照してください。

サンプルはrtshellのソースを参照してください。これらはRTSystemEditorで実現可能なことをrtctreeで行う方法のほぼ全てを示しています。

Changelog

3.0

  • 例外を警告にしました。
  • ゾンビの扱いを改善しました。
  • ゾンビ検出マネージャ。
  • コンポジットコンポーネントの情報を得るAPIを追加しました。
  • ポートからIDによってコネクションを得るAPIを追加しました。
  • ORBを渡すAPIを追加しました。
  • パスフォーマッタを追加しました。
  • 例外を読みやすく表示するようにしました。
  • パフォーマンスの向上
  • 解析するパスを制限する機能を追加しました。
  • ゾンビノードを追加しました。
  • コンポーネントを終了するAPIを追加しました。
  • create_rtctree()関数を削除しました。RTCTree()を使ってください。
  • remove_node()APIを追加しました。
  • node.full_path をリストに変更し、node.full_path_str を追加しました。

2.0

  • 実行コンテキストに関してより多くの情報を解析するようにしました。
  • ORBオブジェクトを外部から与えられるようにしました。
  • reparse_connections()関数をpublicにしました。
  • ノードで使用されているORBを取得するための新しいAPIを追加しました。
  • コンテキストから名前をアンバインドするための新しいAPIを追加しました。
  • より多くのCORBAオブジェクトへのアクセスを可能にしました。
  • ゾンビの認識効率が向上しました。
  • 未知なCORBAオブジェクトの扱い方を修正しました。
  • オーナーが未知なポートの扱い方を修正しました。
  • rtctreeオブジェクトをスレッドセーフにするためのロックを追加しました。
  • ツリーのオブジェクトを再ロードするためのAPIを追加しました。
  • 適切なinheritence取り扱いのためにinit関数を修正しました。
  • 特定のECの中のコンポーネントの状態を得るための新しいAPIを追加しました。
  • 特定のECの中のコンポーネントの状態を更新するための新しいAPIを追加しました。

ダウンロード

最新バージョン : 2.0.1-RELESE

統計

Webサイト統計
ユーザ数:2159
プロジェクト統計
RTコンポーネント307
RTミドルウエア35
ツール22
文書・仕様書2

Choreonoid

モーションエディタ/シミュレータ

OpenHRP3

動力学シミュレータ

OpenRTP

統合開発プラットフォーム

産総研RTC集

産総研が提供するRTC集

TORK

東京オープンソースロボティクス協会

DAQ-Middleware

ネットワーク分散環境でデータ収集用ソフトウェアを容易に構築するためのソフトウェア・フレームワーク