OpenRTM-aistのデータ型とROSのメッセージ型を変換するシリアライザの作成のためには、ROSTransport、ROSのヘッダーファイルのインクルード、ライブラリのリンクが必要になります。 以下のようにCMakeLists.txtでOpenRTM-aist、ROS、Boostを検出します。
#OpenRTM-aistの検出 find_package(OpenRTM 2.0 REQUIRED) find_package(ROSTransport REQUIRED)
#ROSの検出 find_package(PkgConfig REQUIRED) pkg_check_modules(roscpp roscpp) if(NOT roscpp_FOUND) message(FATAL_ERROR "can not find roscpp.") endif() #Boostの検出 find_package(Boost COMPONENTS chrono filesystem system) if(NOT Boost_FOUND) find_package(Boost REQUIRED COMPONENTS chrono filesystem signals system) endif()
以下のように動的リンクライブラリの生成、検出したライブラリのリンク、インクルードディレクトリの設定を行います。
#インクルードディレクトリ、リンクディレクトリ、コンパイル時のフラグの設定 include_directories(${OPENRTM_INCLUDE_DIRS}) add_definitions(${OPENRTM_CFLAGS}) link_directories(${OPENRTM_LIBRARY_DIRS}) link_directories(${roscpp_LIBRARY_DIRS}) #動的リンクライブラリの生成 add_library(${PROJECT_NAME} SHARED TestRosSerializer.cpp) #生成するライブラリ名をTestRosSerializer.dll(もしくは.so)に設定 set_target_properties(${PROJECT_NAME} PROPERTIES PREFIX "") #OpenRTM-aist、ROS、Boostのライブラリとリンク target_include_directories(${PROJECT_NAME} SYSTEM PRIVATE ${roscpp_INCLUDE_DIRS} PRIVATE ${Boost_INCLUDE_DIRS} PRIVATE ${ROSTRANSPORT_INCLUDE_DIRS}) target_link_libraries(${PROJECT_NAME} ${OPENRTM_LIBRARIES} ${roscpp_LIBRARIES} ${Boost_LIBRARIES} ${ROSTRANSPORT_LIBRARIES})
ROS用シリアライザを作成する場合、CPPファイルでROSSerializer.hをインクルードします。 また、今回はROSのgeometry_msgs/TwistStamped型を使用するため、geometry_msgs/TwistStamped.hをインクルードします。このインクルードファイルは使用するメッセージ型により変更します。
#include <rtm/ByteDataStreamBase.h> #include <rtm/idl/BasicDataTypeSkel.h> #include <rtm/idl/ExtendedDataTypesSkel.h> #include <coil/Factory.h> #include <rtm/Manager.h> #include <rtm/ext/ROSTransport/ROSSerializer.h> #include <geometry_msgs/TwistStamped.h>
ROSSerializerBaseクラスを継承したクラスを定義します。 ROSSerializerBaseクラスのテンプレート引数には使用するOpenRTM-aistのデータ型を指定します。今回はRTC::TimedVelocity3D型を使用するため、RTC::TimedVelocity3Dを指定します。
class TestRosSerializer : public RTC::ROSSerializerBase<RTC::TimedVelocity3D> { public: TestRosSerializer(){};
以下のようにTestRosSerializerクラスのメンバ関数としてserialize関数を定義する。 serialize関数では、RTC::TimedVelocity3D型のデータをgeometry_msgs/TwistStamped型のデータに変換し、その後バイト列データに変換しています。
bool serialize(const RTC::TimedVelocity3D& data) override { geometry_msgs::TwistStamped msg; msg.header.stamp.sec = data.tm.sec; msg.header.stamp.nsec = data.tm.nsec; msg.twist.linear.x = data.data.vx; msg.twist.linear.y = data.data.vy; msg.twist.linear.z = data.data.vz; msg.twist.angular.x = data.data.vr; msg.twist.angular.y = data.data.vp; msg.twist.angular.z = data.data.va; RTC::ROSSerializerBase<RTC::TimedVelocity3D>::m_message = ros::serialization::serializeMessage<geometry_msgs::TwistStamped>(msg); return true; }
次にdeserialize関数を定義します。 deserialize関数では、バイト列データをgeometry_msgs/TwistStamped型のデータに変換し、その後RTC::TimedVelocity3D型のデータに変換しています。
bool deserialize(RTC::TimedVelocity3D& data) override { geometry_msgs::TwistStamped msg; ros::serialization::deserializeMessage(ROSSerializerBase<RTC::TimedVelocity3D>::m_message, msg); data.tm.sec = msg.header.stamp.sec; data.tm.nsec = msg.header.stamp.nsec; data.data.vx = msg.twist.linear.x; data.data.vy = msg.twist.linear.y; data.data.vz = msg.twist.linear.z; data.data.vr = msg.twist.angular.x; data.data.vp = msg.twist.angular.y; data.data.va = msg.twist.angular.z; return true; }
以下ように{ライブラリ名}Init関数を定義すると、動的リンクライブラリのロード時にこの関数が呼ばれます。 TestRosSerializerInit関数内でファクトリにシリアライザを追加することにより、RTC起動時に実装したシリアライザが使えるようにします。
extern "C" { //以下はモジュールロード時に呼び出される関数 DLL_EXPORT void TestRosSerializerInit(RTC::Manager* /*manager*/) { //シリアライザの登録 RTC::addRosSerializer<RTC::TimedVelocity3D, geometry_msgs::TwistStamped, TestRosSerializer>("ros:geometry_msgs/TwistStamped"); } }
以下から作成済みのシリアライザ、動作確認用のRTCをダウンロードできます。
作成したTestRosSerializerをビルドしてください。 ビルド、実行時にはROSの環境変数が設定されている必要があるため、以下のコマンドを実行してください。
source /opt/ros/noetic/setup.bash
rtc.confを作成します。 ROSTransport.soと、作成したシリアライザTestRosSerializer.soをロードするように設定します。 TestRosSerializer.soのパスは、ビルドしたディレクトリのパスに変更してください。
manager.modules.load_path: /usr/lib/openrtm-2.0/transport/, ~/TestRosSerializer/build manager.modules.preload: ROSTransport.so, TestRosSerializer.so
以下のようにサンプルコンポーネントのtestVelocity3DInのInPort、testVelocity3DOutのOutPortでコネクションを生成します。
manager.components.preconnect: testVelocity3DIn0.in?interface_type=ros&marshaling_type=ros:geometry_msgs/TwistStamped&ros.topic=chatter&ros.so_keepalive=NO&ros.node.name=testVelocity3DIn0, testVelocity3DOut0.out?interface_type=ros&marshaling_type=ros:geometry_msgs/TwistStamped&ros.topic=chatter&ros.node.name=testVelocity3DOut0
動作確認する場合は、testOpenRTMSerializerに含まれているtestVelocity3DIn、testVelocity3DOutのサンプルコンポーネントをビルドしてください。
以下のコマンド実行後、RTCをアクティブ化するとtestVelocity3DOutのPublisherからtestVelocity3DInのSubscriberにデータが送信されて、testVelocity3DInを起動した画面に数値が表示されます。
testVelocity3DOutComp -f rtc.conf
testVelocity3DInComp -f rtc.conf
今回の動作確認ではRTC同士でROSのトピック通信を実行しましたが、ROSノードと通信を確認する場合は、geometry_msgs/TwistStamped型のPublisher、Subscriberを持つROSノードを作成して試してください。
モーションエディタ/シミュレータ
動力学シミュレータ
統合開発プラットフォーム
産総研が提供するRTC集
東京オープンソースロボティクス協会
ネットワーク分散環境でデータ収集用ソフトウェアを容易に構築するためのソフトウェア・フレームワーク
独自シリアライザの作成
CMakeLists.txtの作成
OpenRTM-aistのデータ型とROSのメッセージ型を変換するシリアライザの作成のためには、ROSTransport、ROSのヘッダーファイルのインクルード、ライブラリのリンクが必要になります。 以下のようにCMakeLists.txtでOpenRTM-aist、ROS、Boostを検出します。
以下のように動的リンクライブラリの生成、検出したライブラリのリンク、インクルードディレクトリの設定を行います。
CPPファイルの作成
ROS用シリアライザを作成する場合、CPPファイルでROSSerializer.hをインクルードします。 また、今回はROSのgeometry_msgs/TwistStamped型を使用するため、geometry_msgs/TwistStamped.hをインクルードします。このインクルードファイルは使用するメッセージ型により変更します。
ROSSerializerBaseクラスを継承したクラスを定義します。 ROSSerializerBaseクラスのテンプレート引数には使用するOpenRTM-aistのデータ型を指定します。今回はRTC::TimedVelocity3D型を使用するため、RTC::TimedVelocity3Dを指定します。
以下のようにTestRosSerializerクラスのメンバ関数としてserialize関数を定義する。 serialize関数では、RTC::TimedVelocity3D型のデータをgeometry_msgs/TwistStamped型のデータに変換し、その後バイト列データに変換しています。
次にdeserialize関数を定義します。 deserialize関数では、バイト列データをgeometry_msgs/TwistStamped型のデータに変換し、その後RTC::TimedVelocity3D型のデータに変換しています。
以下ように{ライブラリ名}Init関数を定義すると、動的リンクライブラリのロード時にこの関数が呼ばれます。 TestRosSerializerInit関数内でファクトリにシリアライザを追加することにより、RTC起動時に実装したシリアライザが使えるようにします。
動作確認
以下から作成済みのシリアライザ、動作確認用のRTCをダウンロードできます。
作成したTestRosSerializerをビルドしてください。 ビルド、実行時にはROSの環境変数が設定されている必要があるため、以下のコマンドを実行してください。
rtc.confを作成します。 ROSTransport.soと、作成したシリアライザTestRosSerializer.soをロードするように設定します。 TestRosSerializer.soのパスは、ビルドしたディレクトリのパスに変更してください。
以下のようにサンプルコンポーネントのtestVelocity3DInのInPort、testVelocity3DOutのOutPortでコネクションを生成します。
動作確認する場合は、testOpenRTMSerializerに含まれているtestVelocity3DIn、testVelocity3DOutのサンプルコンポーネントをビルドしてください。
以下のコマンド実行後、RTCをアクティブ化するとtestVelocity3DOutのPublisherからtestVelocity3DInのSubscriberにデータが送信されて、testVelocity3DInを起動した画面に数値が表示されます。
今回の動作確認ではRTC同士でROSのトピック通信を実行しましたが、ROSノードと通信を確認する場合は、geometry_msgs/TwistStamped型のPublisher、Subscriberを持つROSノードを作成して試してください。